コラム マネー侃々諤々
関 和馬
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ウォール街近くにある巨大な雄牛の銅像。雄牛(ブル)は株価上昇の象徴だ=関 和馬撮影
第7回 2025年 巳年は転換点?
新年あけましておめでとうございます。
さて、昨年末のコラム(ニューヨーク渡航記)で「狂騒の20年代」について触れた。その“永遠の繁栄”と謳われたバブルが弾けたのが1929年。それは奇しくも今年と同じ「巳年」だったのである。
株価と十二支には、有名なアノマリー(説明することができない経験則)が存在する。
それは「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌は笑い、亥固まる、子は繁栄、丑はつまずき、寅千里を走り、卯は跳ねる」というものだが、このアノマリーからすると、株価は今年あたりにピーク(天井)を付け、2025-2026年に下落(まさかの大暴落??)といった展開も予期できる。ちなみに日本株バブル真っただ中の1987年は卯年、1988年は辰年、1989年は巳年であった。
NYダウは1984年10月31日の1207.37ドル(終値)から、2024年12月4日の45073.93ドル(史上最高値/終値)と、過去40年で37.3倍にもなっている(日経平均株価のそれはわずか3.75倍)。仮に米国株バブルが崩壊すれば、日本株も大きな影響を受けることは間違いない。
年末年始の市場からはどうにもきな臭さを感じる。米国の長期金利(10年物国債の利回り)が上昇に転じているのだ。この背景には、米国のインフレ高止まりや財政赤字への懸念があると思われる。長期金利の上昇は株価に逆風となりうるため、今年は米国の金利上昇に最大限の注意を払うべきだ。
今はスマホさえあれば、Amazon(アマゾン)や出前館で注文するのと同じくらい容易に株や暗号資産の取引に参入できる。SNSやインターネット上には、投資による不労所得を収入源として経済的自立と早期リタイアを実現させる新たなライフスタイル「FIRE」(Financial Independence, Retire Early)や、自分だけが儲けの機会から取り残されることへの恐怖を表す「FOMO」(Fear Of Missing Out)の感情が散見される。
これらは裏を返すと現役世代の将来に対する不安の表れだ。大幅な実質マイナス金利(銀行に預金しておくだけでは実質的に目減りしていく状態)や、「長期で株は必上がる」という神話、およそ35年ぶりに史上最高値を更新した日経平均株価、さらには新NISA(小額投資非課税制度)の登場で、「投資しないのは損だ(もっと言えばバカだ)」という風潮ができ上がりつつある。しかし、こういうときにこそ冷静さが問われるのではないか。
著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイは昨年、恒例の「株主への手紙」にこう記している。「私が若い頃とは比べものにならないほど市場はカジノ的な振る舞いを見せる。カジノは多くの家庭に浸透し、人々を日々誘惑している」。
私は昨年11月にニューヨークに渡航した際、バフェット氏にあやかろうと、同氏ご用達のステーキハウス「スミス&ウォレンスキー」に出向いた。途中、ニューヨークで最も賑わいを見せるタイムズスクエアを通ったのだが、そこにはナスダック(ハイテク)関連や暗号資産の広告がわんさかと並んでいたことを鮮明に覚えている。私はどでかいニューヨーク・ストリップ(ステーキ)をほおばりながら、どうにも不気味な感情に囚われたのである。2025年は多くの面で世界的な転換点が訪れる気がしてならない。

関 和馬(せき・かずま) 経済アナリスト
第二海援隊戦略経済研究所研究員。米中関係とグローバル・マクロを研究中。